【土地家屋調査士】択一式の問題の学習方法。高速回転はしなくて良い?

こんにちは。「はれ」です。

令和3年度【土地家屋調査士】筆記試験の合否通知、成績表が届いている頃ですね。

合格された方、誠におめでとうございます!!

また、後一歩で合格を逃された方、お悔しいことと存じます。私も昨年、【行政書士】試験をあと一問というところで合格を逃していますので、その悔しさ、痛いほど分かります。

【行政書士】試験のことは、また別の機会に。

さて、そのような中で、成績表をご覧になって「弱点は択一だな」とか、過去この一年を振り返って「学習時間の割に択一の点数がいまいち伸びなかったな」などと感じていらっしゃる方も多くいるのではないでしょうか?

今回は、【土地家屋調査士】試験を一発合格した私の経験を踏まえて、【土地家屋調査士】試験の学習においての、択一式の問題の学習方法を解説していきます。

STEP
目指す資格を決める
STEP
学習を始めるにあたって
STEP
インプット攻略法

今回はここのお話
【土地家屋調査士】試験の択一の学習方法と「回す」ということ

STEP
アウトプット攻略法
STEP
答練・模試
STEP
本試験について
STEP
独立開業まで
目次

択一式問題との向き合い方

基準点のおはなし

【土地家屋調査士】試験を合格するには、詳細は他の記事で解説しますが、基準点というものを理解しなければなりません。

この基準点を択一、記述共に突破した上で、上乗せ点をいかに得点して合格者400名に入るかが、この試験を合格するために必要な関門なのです。

だから択一の得点が重要

そんな【土地家屋調査士】試験を合格するための1つのセオリーとして

択一で逃げ切り点を取り、記述では少なくとも足切りにならない基準点突破だけを考えて合格点を取る。

という択一で「逃げ切り点」を取っておくということが通説なのです。

逃げ切り点とは

択一・記述の基準点をこえつつ、さらに合格までに必要な「上乗せ点」を択一で稼ぐときの点数。また、この点数(=逃げ切り点)以上の得点は合否に関係ないことになる。このような点数を逃げ切り点という。近年の本試験でいうならば、おおよそ全20問中16〜18問正解が必要。

別記事でも解説しましたが、実は【土地家屋調査士】試験における択一式の問題の難易度は、宅建試験の難易度と同等やや難しいといったところです。

よって、択一で合格に必要な上乗せ点を取るというのは必ずしも難しい話ではなく、実に理にかなっているといえるのです。

択一の勉強方法

さて、宅建の択一とほぼ同レベルか、やや難解である【土地家屋調査士】試験の択一式の問題の出題傾向は間違いなく過去問ベースです。

つまり、択一式の問題で高得点を取るには過去問を使って学習することが必要不可欠であり、どの資格試験でもいえるように過去問を制することが合格への一番の近道なのです。

他資格ですが、行政書士試験では、Twitter等を拝見しますと

  • 肢別過去問集を「回す」
  • 肢別過去問集を「高速回転する」

といったことが合格への1つの手立てとして有名であると見受けられます。

また実際、私が利用をいたしましたアガルートアカデミーでは

  1. 1日1年度分の択一を解く
  2. 肢別ではなく年度別で20問一気に解答する
  3. 解答するときにかけた時間を意識する

といったことが大切であるとおっしゃっています。

予備校で教えてくださる学習方法であれ、「独学」による学習であれ、やはり合格のカギは過去問であるのです。

ここからはそれらのことを踏まえて、私が経験したことや実際におこなってきた学習方法を説明したいと思います。

どのくらい回す?

そもそも、本試験まで択一の過去問を何周すればよいのでしょうか?

私が使っていた過去問は、アガルートアカデミーの択一式過去問で、平成17年〜令和2年度までの各20問を収録しているものを利用していました。私はこの過去問を本試験まで13周しました。

さて、では「受験アカ」の方たちはどのくらい過去問を回していたのでしょうか。

中には、過去問をほとんど回さない方もいらっしゃるようですが、大体の印象としては皆さま総じて10周前後はしているようなイメージです。もちろん学習期間と、1日の学習量で周回できる回数というのは相当程度前後するとは思います。

私が利用していましたアガルートアカデミーの過去問テキストを例にとって解説してみます。毎日択一の学習をする前提です。(過去問には平成17年度〜令和2年度まで16年度分収録されていました。)

過去問を回し始める日一日1年度分
本試験半年前(=約180日)約11周
本試験10ヶ月前(=約300日)約18周
本試験1年前(=約365日)約22周

継続は力なりで、「1日さぼると3日戻る」などと言われている「受験アカ」業界ですが、もちろん毎日学習できれば良いのですが、各人のご事情等もあるので1つの目安としてください。

毎日学習するならば、半年もあれば択一を10周程度回せることになります。

もちろん、繰り返し繰り返しの学習でより知識は定着するのですが、時間も有限であり、際限なく使えるはずもなく、事情、背景等鑑みますと、毎日学習できないことは十分にあり得ることです。

やはり、「回す」回数も重要ではあるものの、どのようにすればより効率的な学習ができるか、どのように択一を学習していくかが大切であると考えます。

択一の学習方法

択一式の問題においてもそうですが、当然のことながら【土地家屋調査士】試験合格においても、過去問を使って学習することが必要不可欠であります。

Twitter等での「受験アカ」の皆さまは、当然ながら過去問を使って学習を進めております。その中で、ツイート等において「過去問を回す」や「択一⚪︎周目」という言葉をしばしば見かけます。

当ブログでは、

過去問を「回す」とは

過去問を繰り返し解くこと。

1周とは

過去問テキストを最初から最後まで解き終えること。例えば年度別の学習だと、平成17年度〜令和2年度を全て解き終えること。

と定義します。

結論から言うと、過去問は回すべきです。私の経験からの肌感覚で言うと、おそらく10周目くらいになると、徐々に過去問を深く理解できるようになってきて、過去問知識を別視点から問われたとしても答えられるようになると思います。

もちろん、この10周というのは一例で私の個人的な経験談であり、個人間の能力や効率的な学習によって十分に前後する数字でありましょう。

私が思う択一の学習方法としていくつかの大切な事があります。

間違っても、

択一20問全100肢の○×正誤を瞬時に判断できる。

ことを目標にしてはいけないと、私は思っています。

①絶対的に大切なのは正誤判断より模範解答

択一の過去問を回す中で、⚪︎×の正誤判断だけになってはいけません。

よくいわれるのは、一肢ずつなぜそれが正解肢なのか、なぜそれが不正解肢なのかを頭の中で「理由付け」して解答するというものです。

こちらも間違いなく良い学習方法であります。

一方、私が強く推奨するのは、それとは少し違っていて、1問5肢全ての肢を正誤判断をしたらすぐに模範解答を見て、書かれている模範解答の内容を全てを読み込むということです。

多少の語弊をご勘弁いただき申し上げるならば、

最初は、○や×といった正誤判断はしなくてもよく、問題文1肢と模範解答を一体一対応させ、模範解答の内容を覚えるくらい読み込む。

ということです。

各テキスト、教材においても、おおよそ模範解答とは「まずは正誤が書かれており、本文として法令に基づいて原則・例外が記述されて、その続きとして当該肢を具体例として正誤の根拠に言及している」というものかと思われます。

過去問を繰り返し回している中で、模範解答に重きを置いて周回していると、自然と模範解答の内容を自分のものにすることができるはずです。

つまり模範解答を読み込んでいるうちに自然と、法律を学習する上で一番大切な「原則と例外」そして「どのような根拠に基づいて判断するか」などを比較的に捉えることができ、知識も厚くなるはずです。

私が利用を致しましたアガルートアカデミーの例で恐縮ですが、

アガルートアカデミーのテキストでは、ある年度のある肢の解答と、別の年度のある肢の解答が似ている(ほぼ同じ言い回しの解答)ということをしばしば見かけます。

アガルート 土地家屋調査士択一講座

これは何も手抜き(失礼いたしました。)なのではなく、どちらの年度の両肢についても、実は同じ論点であることを示しているのです。なので、正誤判断する上で必要な「原則・例外」は同じであるから、どちらの解答も同じような言い回しになるのです。

よって、「過去問を周回」もとい「模範解答の繰り返しの読み込み」をしている内に、最終的なイメージとしては、過去問の1肢1肢が点ではなく面で繋がるようになり、ある年度の過去問知識を別角度から問われても「これは同じ論点だな」「これはあのことを聞いているんだな」と正解を導けるはずです。

この学習方法の良いところは、ある意味脳死状態で択一を回すことができるということです。

なにせ、問題文を見た後、それに対応する模範解答を読めばいいのですから。

また重ね重ね恐縮ですが、アガルートアカデミーのテキストの場合は、問題文の次のページに模範解答が書いてあります。

よって、1問5肢全ての肢を正誤判断したらページをめくり、そこに書いてある模範解答を1肢ごとに読み込むのです。正誤判断というよりは、問題文1肢と模範解答を一対一対応させる感じです。

またその際、適宜前の問題文のページに戻り、問題の言い回し等に慣れるといったことも効果的な学習であるとは思います。

ですが、私はこの学習方法においては、前のページに戻ることなくどんどん先に進むことをお勧めします。

結論をいうと、学習を始めて当面の間は、

ある問題を即座に正誤判断できる力より、1肢1肢の模範解答を大切にして、一回の学習で学べるだけ学び、過去問知識をどのような角度から聞かれても正解を導くことができる。

という力を養っていくべきだと思っています。

そのようにしている内に、いわゆる過去問を「回す」中で、正誤判断をする上で大切なキーワードも自然とわかってきて、自ずと解答するスピードも上がってきます。

②肢別より年度別の学習

私は年度別の学習をお奨めします。

理由としては、

  • 年度別の学習がただ単に自分に合っていたということ。
  • 肢別では論点別に肢がまとまって編集されており、その論点を効率的に学習できるが、再度その論点を学習するのは2周目と時間的に遠くなってしまうこと。
  • 先述した通り、私なりの択一学習ルーティンが使えないこと。

などが挙げられます。


年度別の学習の利点といえば、毎年度の全20問の中に各論点が散りばめられているということが挙げられます。

また年度ごとに一気に通しで解答することにより出題の特徴や傾向、その出題の濃淡などが把握しやすくなり、「ノルマとして最低でも1日1年度分の択一を解く」などタスクを把握しやすい点も挙げられます。

また、私が経験したことですが、

肢別で学習を進めるなかで、

肢の順序が変わったら正誤判断できない。または解答時間が明らかに遅くなったり、迷ったりする。

などの現象が起こったり、または、そのような現象が起こりそうだなと思ったりすることがありました。

肢別ですと詰まるところ論点別に肢が並んでいるので、自然と解答のリズムまで無意識のうちに体に染み込んでしまいます。

1肢1肢正誤判断をしているはずでも、実は前後の肢のバランスや、肢が書かれているページの場所などを無意識的に感じ取って、それらをヒントとして解答していることに気付きます。

そういったときに、順番を変えられたら解答できなかったり、ふと抜き出された1肢の検討に時間がかかったりしてしまうのです。

よって先述の通り、やはり模範解答の読み込みが大切で、そのために肢別よりも体系的な知識を習得できる年度別の学習をお勧めするのです。

肢別で学習されている皆さん、ページをめくった時に、上の肢からでなく下の肢から正誤判断しても、検討のスピードは変わりませんか?正誤判断に詰まること、ありませんか?

③解答時間は意識しすぎない

私が利用したアガルートアカデミーでは

【土地家屋調査士】試験における択一式の問題は20分で解答する。

と言うのが一つの目標としてしばしば耳に入ってきます。

【土地家屋調査士】試験の敵は、その試験の難易度にもあるのですが、実は1番の敵は「時間」であると言っても過言ではありません。

そのくらい問題量に比べて時間が少ないのです。

さらに本試験では、年に一回という資格試験の特徴上、そこにかけてきた時間や努力、思いなどが、緊張と相まって、往々にして普段通りの実力が発揮できないものです。

なので、普段でしたら落ち着いて取り組めば間違えないような問題でも、間違ってしまったり余計に時間がかかったりしてしまいます。

そのような極限状態で本試験に臨みますので、思い描いた通りの時間配分で解答することができず、時間がより足りなくなってしまうのです。

本試験では、どんなに学習を進めても、どんなに知識の精度を上げても、そのような事が「確実」におこります。

よって、【土地家屋調査士】試験に臨む上で、

タイムマネジメント
時間配分

はとても大切なことなのです。必ず本試験では「想定外」に見舞われるからです。

その一方で、過去問を「回す」中で、「常に」解答にかかった時間を意識するのは少々効率的な学習ではないと思っております。

もちろん、最終的には択一を20分で解答することが目標になります。

Twitter等のツイートを拝見しますと

平成○年度 20/20 ○分

といったものをしばしば見かけます。

そのようなツイートを拝見する中で「あの方はすごく速いな」とか「私は随分と学習が遅れているな」とか思い、落ち込むこともしばしばです。

しかし結論を言うならば、当面の間は解答にかかった時間はあまり意識せず、やはり

ある問題を即座に正誤判断できる力より、1肢1肢の模範解答を大切にして、一回の学習で学べるだけ学び、過去問知識をどのような角度から聞かれても正解を導くことができる。

ということを目標に過去問を回すべきだと、強く思います。

当然のことながら、先述したような学習方法で過去問を「回す」と、一年度分を解答するのに私の場合ゆうに60分程度かかり、「高速回転」だったり「平成○年度 ○分」といったことだったりからは、はるかに時間がかかってしまいます。

ですが、それでもいいと私は思っております。

過去問を早く解答することより、間違いなく過去問ベースではあるものの、違った言い回しや違った角度から問われる本試験で、混乱せず確実に正誤判断できる深い理解を養う必要があると思うからです。

択一攻略が合格への近道

よく講師の方がおっしゃっていましたが、

記述で必要な知識と択一で必要な知識が別々で離れていると思われている方がいるが、それは違う。記述で問われる知識と択一で問われる知識は同じ。択一で問われる過去問知識の中の、本当に「基礎」の部分が記述で問われる。

これは本当です。

択一式の問題の学習が、当然のことながら記述式の問題の学習にもつながり、最終的には合格への一番の武器になります。択一をいかに攻略していくか、いかに不動産登記法を好きになっていくかが、合格への一番の近道であります。

みなさんは、不動産登記法、好きですか?

好きなことを、仕事にしたいものですね。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアはこちら

この記事を書いた人

こんにちは。首都圏郊外で個人事業主をしています「どん」と「はれ」です。
コロナ禍による仕事激減、その中で見えてきた将来・老後への不安。社会的地位もあり安定した収入が見込める国家資格の魅力に気づき、いつか独立開業してみたいという思いから、学生以来の勉強の日々。
わたしが経験したもの・こと・合格への道のり、そして異業種未経験からの独立開業までの道のりなど、皆さまに有益な情報をお届けできればと思います。よろしくお願いします。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次